手ひねりと電動ロクロの違い

陶芸体験で一般的な技法には、手ひねりと電動ロクロがあります。
他にも作陶技法はありますが、醍醐味から言えばやはりこの2つの技法が最も作って楽しく、色々なものができる技法です。

一般的には陶芸=電動ロクロという認識があるほど電動ロクロは人気があります。くるくる回る粘土から次々と作品が生み出される様子は魅惑的でもあります。
特徴は以下のようなものです

  • 回転体を大量生産するのに適しています。
  • 回転体、またはそれをベースとした形以外のものはできません。
  • 一度でも崩れてしまえば最初からやり直しです。
  • 99%仕上がっていても最後の一瞬の油断で崩れるときもあります。
  • 一般的に仕上がりがとてもキレイになります。
  • キレイにできるので逆に没個性的になります。
  • 半乾燥させてから高台仕上げをします。(後日に仕上げます)
  • 作陶後の装飾や工夫も一般的には半乾燥後になります。
  • 時間がかかると土が水を吸い軟らかくなって作りにくくなります。
  • 前傾姿勢が基本ですので、長時間続けると腰が痛くなります。
  • やり方にもよりますがとても汚れます。
  • 一般的にとても難しいです。(手助けが必要なケースが大半です)

次に手ひねりですが、こちらは一見地味ですがとても味わい深いものができます。
全ての陶芸の技法の基礎ですが、同時に終着点でもあると思います。

その特徴としては・・・

  • 形を問わず色々なものができます。
  • 作り手によって作品の表情が驚くほど変わります。
  • 一瞬で作品が元の木阿弥になる事はありません。
  • 余りのんびり作っていると土が硬くなり表面にヒビができます。
  • 細かい装飾や工夫なども自由自在にできます。
  • 無意味にはしゃがなければ余り汚れません。
  • 作り手のレベルに合った作品ができます。

ひょうたん窯が電動ろくろ体験をやらない理由

ひょうたん窯では「手ひねり」体験の方を推奨し、数年前より電動ろくろ体験の方は受付を停止しております。
なぜなら手ひねり体験の方がじっくり取り組め、作り手のレベルにあった個性的な作品ができるからです。電動ロクロ体験は製作時も補助やお手伝いが必須で、仕上げも工房スタッフに任せるしかありません。工房スタッフの関与度がどうしても高くなってしまいますので、「体験」「自分が作った作品」としての意味合いがかなり薄まると思っています。更に出来上がるものも電動ロクロの方はキレイにできすぎて量産品ぽくなり逆に面白味に欠けます。要するに誰が作っても同じという没個性的なものになってしまいがちです。上手に作れば作るほど量販店や百円ショップにあるようなありきたりの陶器に近づいてしまうわけです。
電動ロクロは体験として土に触ることの意味や面白さは大いにあるとしても、出来上がりの作品の多様性や手作りの意義、作品への作者の関与度の高さなどは圧倒的に手ひねりの方に分があると言わざるを得ません。体験そのものについても手ひねりの方がとっつきやすい分、上達すれば思うがままに作品を作ることができ、変形や装飾など出来ることも遥かに多岐に渡りますので、面白さも電動ろくろ体験より上回ると私は思っています。ひょうたん窯が電動ろくろ体験を受け付けていないのは以上の理由によるものです。

以上に書き連ねてきた事は私のあくまでも「私見」です。
手ひねりと電動ロクロはどちらも楽しいものですので、体験したい方を素直に体験していただく事をお薦めします。