ひょうたん窯の釉薬は全7種類があり、高台仕上げの作品以外は底面以外の器全体を覆うフルコート仕様にて仕上げています。その他に釉薬無しで焼く焼締めという仕上げも選択することができます。つまり全部で8通りの仕上げが可能です。
仕上げのご指定は作品一つごとにしていただけます。
釉薬を掛けることによる利点
釉薬を掛けることにより、器の表面にはガラス質の硬い被膜ができ、その被膜により器には以下のような利点が生まれます。
- 器の表面に釉薬が食いつくことで硬く頑丈になります。これにより器は欠けたり割れたりしにくくなります。
- 器の表面の凸凹を釉薬が均して滑らかになります。スプーンや箸等が引っかからなくなり、洗浄も容易になります。
- 器の多孔質な表面をコーティングするので吸水や水漏れしにくくなり、汚れや匂い移りやカビなどから器を守ります。
- 装飾の凹凸を均すことで釉薬に濃淡が生まれ、装飾を強調する効果を生むことに加え、凸凹になった欠点を補います。
以上の利点は当然ながらフルコート仕様にすることで生まれるものです。釉薬で器全体を覆わない一部掛け等の仕上げですと堅牢性、平滑性はあまり生まれず、カビやすく匂いや汚れも定着しやすくなります。
釉薬の欠点
釉薬は以上のような優れた特質があるのですが、欠点が無いわけではありません。
- 釉薬はガラス質コーティングですので土の持つ素朴な風合い、土味が損なわれます。
- 釉薬で表面が平滑でツルツルになるので、扱う際に落としやすくなります。
その欠点を補う措置としてひょうたん窯は焼締めという選択肢も用意しています。植木鉢やランプシェード等にはとても適している仕上げです。
また、釉薬は原則として底面以外は全部掛けるフルコート仕様で仕上げておりますが、お茶碗やぐいのみ等の高台仕上げの器に関しましては、高台のみは釉薬なしとして仕上げています。これは持つことが多い高台を滑りにくくする為と、抹茶茶碗等で土味を見る部分を残す為です。
ひょうたん窯の釉薬の焼成見本(実際に作られたお客様の作品です)

ひょうたん窯名称:とうめい
透明釉です。シンプル・イズ・ベスト。器に入れた料理や飲み物の色合いを殺さない薄い色合いですので、どのような用途にも万能にお使いいただけます。色の濃さがないため、装飾での濃淡は出にくくなります。

ひょうたん窯名称:せいじ
青磁釉です。清涼感のある仕上がりですので、特に夏場に大活躍しそうです。薄い色合いですのでこちらもどのような用途にも合う釉薬です。薄めの色で濃淡が生まれやすいので装飾との相性は良いです。

ひょうたん窯名称:びーどろ
びーどろの名の由来は、鉄分の不純物が多かった古代や中世のガラスの色です。青磁釉より少し濃い、落ち着いた色合いの釉薬です。薄い色合いの料理などを生かす良脇役に。こちらも濃淡が生まれるので装飾との相性もバッチリです。

ひょうたん窯名称:ぴんく
ピンク色の釉薬です。優しい色合いになりますのでやはり女性には人気の色です。主張する色ですので、花器など脇役的な用途で使うには不向きかもしれません。濃淡が生まれるのでこちらも装飾向きの色です。

ひょうたん窯名称:あめ
飴釉です。濃く深みのある色合いで、脇役的な使い方にも適しています。紅茶カップ等には色が真っ黒に見えるために適してはいません。色が濃いために濃淡があまり生まれにくくなり装飾との適性は薄い色の釉薬と比べると落ちます。

ひょうたん窯名称:まっとしろ
マット白釉です。名前の通り表面の艶を少なめにした落ち着いた風合いの釉薬となります。艶のある透明系の釉薬と比べて堅牢性や防汚性などは落ちますので食器向きでは有りません。テカリやギラツキなどが抑えめの風合いですので花器や照明などに向いています。

ひょうたん窯名称:はい
木を燃やした灰を主原料とした灰釉です。他の釉薬とはまるで違う魅力のある釉薬です。備前焼、信楽焼等の自然降灰釉と成分はほぼ同じですので、渋好みのお客様から好評を頂いています。灰の成分が不安定ですので、焼き上がりは良くも悪くもバラつきます。